アメリカのE2ビザの取得方法とは、グリーンカードとの違いを解説
ビジネスや投資をする人を対象に発給される、アメリカのE2ビザはどのように取得するのでしょうか。
アメリカのビザには種類がありますが、そもそもE2ビザとはどのような人に発給されるものなのでしょうか。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- E2ビザとは
- E2ビザを選ぶメリットやデメリット
- E2ビザの申請方法
- E2ビザとグリーンカードはどちらを選ぶべきか
- E2ビザが却下されてしまう理由
E2ビザの取得を検討している方、グリーンカードと迷っている方に、それぞれの違いをわかりやすく説明していきます。
なお、M&AによるEビザの取得やグリーンカードの申請などに関するご相談はこちらよりお問い合わせください。
E2ビザとは
アメリカのEビザとは、友好通商条約を締結している国の国民に発給されるビザです。
E1ビザとE2ビザがあり、E2ビザは主にビジネス目的でアメリカの企業に投資する人を対象としています。
E2ビザの目的や条件といった、基本的な内容についてご説明します。
- E2ビザ取得の目的
- E2ビザ取得の条件
- E2ビザの有効期限
- 家族用のEビザとは
E2ビザ取得の目的
アメリカと通商条約(Treaty)を締結をしている国の国民が対象なので、日本はE2ビザの対象国となります。
アメリカ国内の企業への投資を目的として発給されるビザです。
その投資がビジネスであり、アメリカへ多大な経済活動を生み出すものである必要があります。
そのため投資規模も発給の条件となっており、複数の条件が満たされないと判断されれば申請が通らない場合もあります。
E2ビザ取得の条件
E2ビザを取得するには、これらの条件があります。
- 申請者が実質的な投資を行っている、または投資の途中段階である場合、投資が「実際の積極的な投資」であること。
- 企業が実質的に稼働している商業機関であること。
- 投資が単に申請者とその家族の生活費を得る目的だけの小規模なものでないこと。
- 申請者が企業内において、企業発展の責任を負い、指揮をとる役職・地位にあること。
(アメリカ移民法基礎より引用)
申請者は、投資企業内において管理職であるか、それ以上の役職であるかが問われます。
またE2ビザは非移民ビザとなるため、投資が打ち切られるといったステイタスが無効になった際には帰国する旨を述べなくてはいけません。
E2ビザの有効期限
E2ビザの有効期限は、通常は最長で5年間とされていますが何度でも継続できます。
そのため永住権のように何年もアメリカに居住するのも可能となります。
有効期限は滞在期間とは異なりますので、滞在期間はI-94に記された期限となります。
家族用のEビザとは
Eビザを取得した者の家族が一緒にアメリカに渡るには、E4ビザという家族用ビザを取得します。
E2ビザの取得には面接がありますが、14歳以下の子どもは同席は不要です。
すでに観光や就学を目的としたビザを取得していれば、家族用E4ビザの申請が免除される場合もあります。
E2ビザのメリット
E2ビザを選択し、申請・取得すると、以下のようなメリットがあります
- 短期間で取得できる
- 滞在期間に制限がない
- 家族も就労できる
- 公立校ならアメリカ人同様の授業料
- 旅行の制限がない
- 永続的に更新できる
短期間で取得できる
アメリカのビザの中には、取得のための手続きに数年という時間がかかるものもあります。
E2ビザは、数ヶ月で取得できますので比較的短期間でビザを手に入れられます。
ビザを待っていて渡航スケジュールが遅れると、ビジネスに影響が出てしまうかもしれません。
「できるだけ早く渡航したい」「スピード感を持って行動したい」と考えている場合には、E2ビザを検討しましょう。
滞在期間に制限がない
アメリカの非移民ビザは、種類によって有効期間や最長連続滞在許可期間が決められています。
E2ビザは5年間有効の一時居住ビザですが、更新を継続していれば長期間アメリカに滞在可能となります。
アメリカに永住する権利として非移民ビザを用いるのは難しいですが、E2ビザであれば失効はありません。
家族も就労できる
E2ビザを取得すると、家族も対象となります。
配偶者はもちろん、21歳以下の子どもも連れてアメリカでの居住が許可されます。
配偶者は労働許可証を申請できますので、自由に就労できます。
外国人がアメリカ国内で就労をする場合には、本人のビザが必要になる場合が多いです。
E2ビザのように、配偶者のビザで就労できるのは特別なケースだといえるでしょう。
公立校ならアメリカ人同様の授業料
E2ビザを取得して家族でアメリカに移住するという場合は、子どもの教育面の条件も重要です。
子ども教育面でのメリットを感じて、家族で移住を決断するという方もいます。
アメリカは高校までが義務教育とされており、公立校は授業料が無料で、教科書も無償となっています。
E2ビザの扶養家族であれば、アメリカ人と同等に扱われますので、公立校であれば授業料は無料です。
仮にE2ビザでなく、学生ビザを使って留学をした場合は、外国人授業料となり高額な学費がかかります。
旅行の制限がない
E2ビザでアメリカに居住をしている者は、アメリカ国外に出国してから戻るまでの期間に制限がありません。
海外に行くための出入国のために、新たにビザを取得する必要もありません。
目的はビジネスだけでなく、旅行であっても同様に制限なく自由に移動ができます。
ビジネスをしていれば海外を飛び回り、アメリカ国外の案件への対応が必要な場合もあるでしょう。
アメリカの出入国に制限がないので、より柔軟にビジネスに集中できるビザであるといえます。
永続的に更新できる
E2ビザにはアメリカ国内居住の滞在期限がないだけでなく、何度でも更新ができます。
5年という有効期限のE2ビザを随時更新し続け、アメリカでの生活を継続させられます。
ただしE2ビザの更新は、事業投資を継続していなければいけません。
配偶者や子どもとの将来を考え、最初はE2ビザでアメリカ居住をしていた人が、後にグリーンカードを取得するというケースもあります。
E2ビザのデメリット
多数のメリットがあるE2ビザですが、これらのデメリットもありますので覚えておきましょう。
・基本的に管理職以上しか取得できない
・2年に1回国外へ
・証明書類の用意が大変
E2ビザは希望者が誰でも取得できるというものではなく、経営者や管理者や、専門知識のある特殊技術者に限られます。
滞在期間に制限のないE2ビザですが、2年に1回はアメリカ国外に出てI−94を延長しなくてはいけません。
I−94とは、外国人がアメリカ入国の際に入国審査官に提出する書類のひとつで、入国日から最長2年間とされているためです。
行先は、短期間の日本帰国でも構いません。
またE2ビザ申請には多くの書類が必要になりますので、証明書類の準備には時間がかかるかもしれません。
E1ビザとの違い
Eビザには2種類あり、E1ビザとE2ビザがあります。
E1ビザ | 貿易駐在員ビザ | 日本と米国の間で貿易活動を行う |
E2ビザ | 投資家・駐在員ビザ | 米国への投資が目的 |
E1ビザは、アメリカと日本の間で積極的に貿易をしている企業の管理職や経営者に発給されます。
規模の大きな貿易が単発ではなく、継続的に行われているのが条件となります。
アメリカの会社と日本間の貿易は、数量ベースにおいてアメリカの会社の貿易量の50%以上を満たすというのも重要な条件となっています。
Eビザ取得申請の流れ
Eビザを取得する際の具体的な流れを確認しておきましょう。
1.米国領事館に申請書と必要書類・資料を提出
2.約4~6週間後に領事館からFAXか郵送にて通知
3.大使館での面接を受ける
4.ビザの発給を受ける
最初に申請をする米国領事館は、日本国内のものでなくても構いません。
日本国内には、在日米国大使館(東京)・駐大阪・神戸米国総領事館・在札幌米国総領事館・在福岡米国総領事館・在沖米国総領事館があります。
申請をすれば必ず通るものではなく、書類の不備や面接で却下されるケースもあります。
Eビザ取得申請の必要書類
Eビザの申請に必要になってくる書類について、ご紹介します。
- オンライン申請書DS-160フォーム
- 6ヶ月以上の残存有効期間があるパスポート
- ビザ該当者の現住所・及び海外(日本等)の住所
- 会社概要
- 決算報告書
- 雇用者数
- 会社設立日
- 登記簿、議事録、定款、株券のコピー
- 最新の納税申告書(1120フォーム)
- ビザ該当者のアメリカでの予定役職、給与、職務内容の詳細
- 日米間での相当量の商業活動を証明するもの
- 派遣元企業からのサポートレター
このように、ビジネスでの実績について詳しく問われますので、不備のないように準備をしましょう。
同行家族がいる場合には、さらに配偶者や子どもの関係の書類も準備しなくてはいけません。
英語以外の書類は、翻訳が必要になります。
申請者によっては必要書類が異なる場合がありますので、必ずご自身で必要な書類は確認するようにしてください。
E2ビザとグリーンカードの違い
アメリカでの居住を考えている方であれば、グリーンカードの取得についても検討しているかもしれません。
グリーンカードとはアメリカの永住権です。
E2ビザと条件が似ていると思われがちなグリーンカードですが、違いを比較してみるとこのようになります。
グリーンカード | E2ビザ | |
滞在ステイタス | 永住権 | 非移民ビザ |
居住義務 | あり (1年の半分以上) |
なし |
滞在可能期間 | 10年更新 | 5年更新 |
ビジネス管理 | 不問 | 必須 |
審査期間 | 47~71ヶ月 | 2~3ヶ月 |
E2ビザは継続的に更新ができますが、滞在ステイタスはあくまでも非移民ビザとなります。
グリーンカードは永続的にアメリカに居住する意志があるかが重要になりますので、1年の半分以上はアメリカでの生活が望ましいとされています。
大きな違いは取得のための審査期間です。
グリーンカードは条件により時間がかかってしまいますので、先にE2ビザを取得し渡米するというケースも少なくありません。
E2ビザに関するよくある質問
E2ビザに関する、よくある質問をまとめました。
- E2ビザの投資額はいくらですか?
- E2ビザの申請料金はいくらですか?
- E2ビザの面接で聞かれる質問は?
- アメリカのビザが落ちる理由は何ですか?
E2ビザの投資額はいくらですか?
E2ビザの投資額は、ビジネスにより異なります。
しかし最低でも15万~30万ドルを目安としておきましょう。
E2ビザの申請料金はいくらですか?
E1ビザ・E2ビザの申請料金は、315ドルです。
2023年6月17日以前は205ドルでしたが、引き上げられました。
観光や商用ビザ、学生ビザの申請料金は185ドル、就労ビザの申請料金は205ドルとなっています。
(参照:在日米国大使館と領事館「非移民ビザ申請料金の改定について」)
E2ビザの面接で聞かれる質問は?
E2ビザで聞かれる質問の例をご紹介します。
- 以前にアメリカビザを取得した経験はありますか?
- アメリカのどの企業に投資をする予定ですか?
- E2ビザ終了後の計画はありますか?
- 投資した金額はいくらですか?
- どのように企業を発展させていきますか?
E2ビザの面接で聞かれる質問は、毎回同じではありません。
正直に質問に答え、適切な目的でのE2ビザ申請であると伝わるような受け答えをしましょう。
アメリカのビザが落ちる理由は何ですか?
E2ビザは誰でも取得できるものではなく、残念ながら面接で却下されてしまう場合もあります。
その理由でよくあるのが、INA214(b)により却下されたという内容です。
INA214(b)で却下されたのなら、虚偽の申請を疑われている可能性があります。
E2ビザは非移民ビザであり、ステイタス終了時には帰国する意志があるかが前提となっています。
「不法労働が不要な資金があるか」「不法滞在の意志がないか」などが、面接でみられています。
不法滞在や不法労働、テロの脅威からアメリカ国民を守るため、不適切だと判断されるとビザの申請は却下されてしまいます。
グリーンカードを希望する方もE2ビザから
E2ビザは、ビジネス目的でアメリカ国内の企業に投資する人を対象とした非移民ビザです。
帰国の意志があるというのが前提であり、永住権とは異なります。
グリーンカードと呼ばれる永住権は、就労は自由でビジネスや投資に関しての制限はありません。
しかし取得までに時間がかかるというデメリットがありますので、先にE2ビザを取得してアメリカでの生活を送るという選択肢もあります。
E2ビザのメリットやグリーンカードとの違いをよく比較して、ご自身の状況や目的により適切な方法を選んでビザを取得するようにしてください。