アメリカのE2ビザ取得に向けて アメリカのビジネスの買収方法を解説
アメリカの投資家ビザには、EB-5とE2ビザがあります。
どちらも長期間のアメリカ滞在が可能で、条件が似ている物と思われがちです。
自身に合うビザを選ぶために、双方の違いを正しく理解しましょう。
E2ビザを取得するためのM&Aについて、M&Aのメリットやリスクについても詳しく説明していきます。
また、M&AによるEビザの取得やグリーンカードの申請などに関するご相談はこちらよりお問い合わせください。
関連記事:アメリカのE2ビザの取得方法とは、グリーンカードとの違いを解説
〈この記事を読んでわかる内容〉
- EB-5とE2ビザの違い
- E2ビザを取得するためのM&A
- M&Aのメリットとリスク
- EB-5とE2ビザのどちらを選ぶべきか
アメリカの投資家ビザとは
アメリカでビジネスをするための投資家ビザはグリーンカードとも呼ばれるEB-5とE2ビザがあります。
これらの違いや特徴について理解し、自身にどちらが適切なのかを判断していきましょう。
- EB-5(投資永住権ビザ)|グリーンカード
- E2ビザ(投資駐在員ビザ)
EB-5(投資永住権ビザ)|グリーンカード
EB-5プログラム、EB-5ビザとは、投資永住プログラムでグリーンカード取得プログラムとも呼ばれます。
グリーンカードとはアメリカの永住権を指しますが、取得方法はいくつかあります。
永住権を取得する手段のひとつとして、投資を選択する場合にEB-5プログラムを利用します。
EB-5プロジェクトにある企業から最低80万ドルを投資し、その他の条件を満たすとグリーンカードの申請が可能となります。
グリーンカードを取得すると、家族と一緒に移住でき、就労や就学も自由に選択できます。
実質的にはアメリカ人と同じような生活が可能になりますが、永住の意志があるかが重要になりますので1年の半分以上はアメリカ居住が望ましいとされています。
E2ビザ(投資駐在員ビザ)
アメリカ企業に投資し、ビジネス目的で取得するのがE2ビザです。
有効期限は5年間となりますが、ビジネスが継続している限り何度でも更新できます。
グリーンカードは永住権ですが、E2ビザは何度更新したとしてもあくまでも非移民ビザという扱いであり、ビジネス終了時には帰国する意志があるかが前提となります。
最低投資額は20万ドルほどとなりますので、EB-5プログラムよりも手の届きやすいアメリカビザといえるでしょう。
E2ビザの最大のポイントは、審査期間が2~3ヶ月と短く、取得までに時間がかからないという点です。
グリーンカードの取得には数年時間がかかる場合もありますので、早く取得したいのであればE2ビザを検討するべきでしょう。
アメリカE2ビザの取得方法
アメリカのE2ビザを取得するには、企業登録が必要です。
企業登録やビザ申請のために揃えておきたい必要書類についてご説明します。
- Eビザを申請する前に企業登録をする
- E2ビザを取得するための必要書類
Eビザを申請する前に企業登録をする
Eビザを申請する前に、東京の在日米国大使館か駐大阪・神戸米国総領事館にて企業登録を行います。
他の非移民ビザ発給のための面接では、札幌や福岡の領事館でも面接が可能ですが、企業登録の場合は東京か大阪になりますのでご注意ください。
上場している企業であれば、有価証券報告書や年次報告書を英訳した書類が必要です。
上場していない場合は、日本の会社案内や会社登記簿謄本、会社決算報告書を英訳した書類等が必要になります。
企業の規模により必要書類が異なりますので、事前に確認して不備のないよう準備をしておきましょう。
E2ビザを取得するための必要書類
すでに企業登録をしている企業の社員が、E2ビザを申請する際にはこれらの書類が必要になります。
- DS-156E Part I & II
- 直近3年分の単体の決算報告書
- 社員リスト
- アメリカでの組織図
- Eビザ申請者の部下リスト
DS156Eフォームとは、会社の財務情報等会社情報を記す書類であり、適切な記入が求められています。
直近3年分の決済報告書は、米国法人単体の報告書となります。
アメリカビジネスを買収するM&A
M&AとはMergers and Acquisitionsの略で、2つ以上の会社が一つとなる合併や、他の会社を買収しビジネスを拡大させていく取り組みです。
アメリカでのM&Aが盛んな理由、なぜ件数が伸びているのかをご説明します。
- M&Aでアメリカビジネスを買収する理由
- アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由
M&Aでアメリカビジネスを買収する理由
外国人がアメリカでビジネスをスタートさせるのは、容易ではありません。
E2ビザを取得しビジネスを始めた経営者が、新規事業を立ち上げて失敗してしまうというケースも多々あります。
外国人がオフィスを賃貸するのは難しいですし、事業に必要なライセンスの取得にも困難が付きまとうでしょう。
M&Aであれば、ビジネスに必要なライセンスもついていますので、すぐにビジネスをスタートさせられます。
ソーシャルセキュリティ―もクレジットヒストリーもない外国人が、低リスクでビジネスを始められるのがM&Aです。
アメリカのM&A件数・金額が伸び続ける理由
アメリカのM&A市場は、2021年で3兆4,742億ドルとなり規模・件数共に増加傾向にあります。(参照:M&A 統計 米国)
M&Aが伸び続けている理由として、このような理由が考えられます。
- 世界経済が低成長状態である
- スピード重視で事業スタートできる
- M&Aは歴史があり一般的な手法である
- M&Aに対する教育がされている
- 中国企業からのM&Aの増加
世界的に経済が低成長状態である、不景気であるという背景がありますが、M&Aによって企業を拡大させられるという発想により、M&Aが伸びていると考えられます。
アメリカではM&Aに関する教育も充実していますので、選択肢のひとつとしてM&Aを検討しやすい環境でもあります。
また中国企業が海外のM&Aを積極的に進めているという要因もあるでしょう。
アメリカでM&Aをするメリット
アメリカでM&Aをするメリットはこちらです。
- スケジュールの遅れに振り回されない
- 事業スタートのコストが抑えられる
- アメリカでの販売網とライセンスが確保できる
- 投資の就労ビザ取得の可能性
スケジュールの遅れに振り回されない
例えばアメリカで新しく事業をスタートさせようとすると、スケジュールの調整が困難になるケースが多いです。
オフィスや店舗を借りて事業を始めようとしたとしても、予算や施行スケジュールは業者によります。
食品やアルコールを扱うのであればライセンス取得も必要ですが、これらの許可を得るには時間がかかります。
そのため、開業までに半年~1年かかってしまう場合もあります。
M&Aであれば、これらの環境が整った状態でスタートできるので、スケジュールに振り回されるという心配がありません。
事業スタートのコストが抑えられる
事業スタートの際に必要になる、内装工事や採用コストが不要なのもM&Aのメリットです。
不動産を自身で探し、契約、施工をしていく経費と比較すると、各段にコスト削減となります。
時間だけでなく、コストも抑えながら事業をスタートさせられます。
アメリカでの販売網とライセンスが確保できる
どんなに良い商品を準備していたとしても、売り方は販売網がないとアメリカでは商売が成り立たないかもしれません。
日本人は売る商品そのものを大切にしますが、アメリカで重要なのは販売網や営業ネットワークです。
M&Aでライセンスと共に販売網も確立された状態で、事業をスタートさせるのが成功への近道だといえるでしょう。
投資の就労ビザ取得の可能性
M&Aで企業買収をし、E2ビザ(投資家ビザ)を取得するという方法もあります。
ビジネスをしたいという希望の他に、「自由に暮らしたい」「子どもの将来を考えてアメリカで暮らしたい」「憧れの場所に住みたい」という目的の方もいます。
E2ビザは、EB-5プログラムでグリーンカードを取得するよりも、投資額が少なく、申請期間が短いというメリットがあります。
E2ビザを取得するための選択肢のひとつとして、M&Aを検討してもいいでしょう。
アメリカでM&Aをするリスク
アメリカでのM&Aは「5件に1件しか成功しない」ともいわれています。
M&Aには当然リスクもありますので、正しく理解しておかなくてはいけません。
- 現地社員のモチベーションリスク
- 想定していなかった債務リスク
- 予定通りの収益が出せない
- 高いM&Aになってしまう
現地社員のモチベーションリスク
アメリカ人を雇用して事業を行っていくので、日本の働き方の常識や当たり前と思っていたスタイルが通用しない可能性があります。
従業員側にとっても不安を感じている状態なので、雇用スタッフのモチベ―ション維持を心がけておきましょう。
既存の社風や会社の習慣が、思わぬリスクになってしまうかもしれません。
アメリカ人スタッフの仕事への意欲が低下し、離職という結果にならないよう、働きやすい環境を整えていけるかが腕の見せどころです。
想定していなかった債務リスク
海外M&Aのノウハウがない企業の失敗例として、債務に気付かずに契約してしまうというケースがあります。
M&A完了後に債務が発覚し、訴訟問題になってしまう例もあります。
不良資産や簿外債務といった引き継ぎたくない負債があっても、引き継がなくてはいけません。
海外でM&Aを行う場合には、日本国内のような管理がされていない可能性もあると覚えておきましょう。
予定通りの収益が出せない
M&Aの事例をみると、莫大な利益をあげた夢のような成功例が多く紹介されているかもしれません。
しかし必ず全てのM&Aが成功するわけではありません。
理想的な成功例がある一方で、予想通りの収益を出せずに苦労をするというケースもあります。
アメリカでのM&Aをする際には、事前に線密な分析と計画をたてて臨むべきだといえるでしょう。
高いM&Aになってしまう
想定以上の買収資金が必要になり、借入がさらに必要になるケースもあります。
買収資金が膨らみ借金が増えても、事業がうまく回らないと毎月支払う利息に追われてしまうでしょう。
好き嫌いや勘ではなく、購入価格とその後の経営が成り立つかを確認しておかないと失敗してしまいます。
売上、仕入れ、人件費、家賃を確認し、現金の流れを把握します。
M&A買収後の経営が成り立つのかを、きちんと考えておかないといけません。
アメリカM&A仲介会社を選ぶ
アメリカでのM&Aでは仲介会社が入るのが一般的ですが、きちんと信頼できる仲介会社を選ぶのが大変重要です。
最も重視したいのが、買収後の支援があるかという点です。
日本とは異なるアメリカの職務概念を理解し、アメリカで成果を上げるためのコンサルタント・アドバイザーがついていると安心です。
アメリカの職務概念を把握できていないと、日本とのギャップが生じて離職者を多数出してしまうかもしれません。
多様な業界や人材との交渉能力があり、経験豊富な仲介会社を選びましょう。
アメリカでのビジネスに関するよくある質問
アメリカでのビジネスに関するよくある質問をまとめました。
- なぜアメリカ人はM&Aで会社を売却するのですか?
- アメリカでのM&Aの件数は?
なぜアメリカ人はM&Aで会社を売却するのですか?
アメリカは常に会社を拡大させたいという意識があるからです。
日本人の感覚では、企業の買収というとネガティブなイメージがあるかもしれません。
しかしアメリカでは会社を大きくするという意識が高く、牛を育てるようなものという感覚です。
M&Aの教育も盛んで、日本人よりもM&Aが身近なものとされています。
会社を売却する抵抗感が低く、M&Aは会社をより発展させるものという認識があります。
アメリカでのM&Aの件数は?
アメリカでは、毎年60万社がM&Aの対象となっています。
M&A件数では、日本はアメリカの4分の1程度となっており、アメリカM&Aの市場規模の大きさがわかります。
日本ではM&Aに関する法律やルールが整っておらず、売り手・買い手の知識不足が理由として考えられます。
アメリカでのM&A件数が伸びていますが、全て成功例とはいきませんので、事前にしっかりと情報収集をしておきましょう。
M&AでE2ビザ取得も可能
アメリカ企業に投資し、ビジネス目的で取得するのがE2ビザです。
何度でも更新が可能なので、将来的にグリーンカードと呼ばれる永住権を取得したいと考えている投資家もいると思います。
売上や従業員数などの条件をクリアすれば、グリーンカードへの切り替えの申請も可能になりますが、まずはE2ビザ取得のために、M&Aでアメリカ企業を買収し、ビジネスをスタートさせるところから始めてみてはいかがでしょうか。
アメリカで一からビジネスを立ち上げ成功させるのは難しいですが、M&Aであればライセンスや販売網が確保でき、コストを抑えながら事業を始められますので、ぜひ選択肢のひとつとして検討してください。
→詳しくは「Biz Hawaiiの無料相談」よりご相談ください。